名画を訪ねる
誰もが知る名画も、実物がどこにあるかまでは意外と知られていません。みんなのアートでは、日本で見られる名画91点と、海外で見られる名画60点を、作品の見どころとあわせて紹介しています。
各記事には「どこで見られる?」の項目があり、所蔵先・公開状況・所在地をまとめています。常設で公開されている作品もあれば、年に数週間しか公開されない作品もあります。旅の計画に役立ててください。
どこで見られるかで選ぶ
絵画の系統で絞り込む
所蔵先で絞り込む
日本で見られる名画が91件見つかりました

少女:アカデミーの巨匠ブグローが市場向けに描いた祈りの小品
ブグローが1878年に描いた、胸もとで手を合わせて祈る少女の半身像。アカデミーの重鎮が画廊向けに手がけた小品ながら、演出を抑えた自然な表現が印象に残ります。日本の個人収集家から2008年に国立西洋美術館へ寄贈された一枚です。
続きを読む →
舞台袖の3人の踊り子:シルクハットの紳士が立つ、ドガが描いた舞台裏
ドガが1880〜85年頃に描いた、オペラ座の舞台裏の一場面。書割の陰で出番を待つ3人の踊り子と、シルクハットをかぶった紳士の黒いシルエットが向き合います。国立西洋美術館が2016年に購入した作品で、常設展で公開されています。
続きを読む →
豊穣:ルーベンスが自ら描いたタピスリー用の油彩下絵
ルーベンスが1630年頃、タピスリーの下絵として板に描いた寓意画。豊穣の角から果実がこぼれ、二人のプットーが拾い集めます。18世紀からイギリスにあった作品で、1978年に文化庁から国立西洋美術館へ管理換えされ、常設展で公開されています。
続きを読む →
睡蓮(1916年・国立西洋美術館):一辺2メートルの正方形に水面だけを収めた一枚
モネが1916年に描いた、一辺およそ2メートルのほぼ正方形の《睡蓮》。松方幸次郎がジヴェルニーでモネ本人から購入し、戦時中の接収を経て1959年に日本へ返還されました。同じ館の《睡蓮、柳の反映》とは別の作品で、常設展示の中心となる一枚です。
続きを読む →
聖トマス:蝋燭ではなく昼の光で描かれたラ・トゥールの真作
真作が世界に40点足らずしか残らないラ・トゥール。国立西洋美術館の《聖トマス》は、蝋燭ではなく昼の光で描かれた一枚です。1987年に南仏アルビで発見され、一度日本に入って再び海外へ出たのち、2003年度に同館が購入しました。上野で会える希少な17世紀フランス絵画です。
続きを読む →
宴の準備:セザンヌが晩年に立ち返った謎めいた宴の情景
ポール・セザンヌが1890年頃に描いた《宴の準備》は、大阪・中之島の国立国際美術館が所蔵する油彩画です。晩年の彼には珍しい物語的な主題で、常設展示ではなく年数回のコレクション展のなかで公開されます。
続きを読む →
グラスのある静物:キルヒナーが円と直線で組み立てたベルリンの静物画
エルンスト・ルートヴィヒ・キルヒナーが1912年に描いた《グラスのある静物》は、名古屋の愛知県美術館が所蔵する油彩画です。ドイツ表現主義の中心にいた画家の代表的な時期の一点で、コレクション展の会期ごとに公開されます。
続きを読む →
カリアティード:モディリアーニが彫刻家を目指した時代の女性像柱
アメデオ・モディリアーニが1911-13年に描いた《カリアティード》は、名古屋の愛知県美術館が所蔵する油彩画です。彼が彫刻に打ち込んでいた時期の連作の一点で、常設展示ではなくコレクション展の会期ごとに公開されます。
続きを読む →
イプセン『幽霊』からの一場面:ムンクが劇場のために描いた構想画
エドヴァルド・ムンクが1906年に描いた《イプセン『幽霊』からの一場面》は、名古屋の愛知県美術館が所蔵するテンペラ画です。ベルリンで上演される『幽霊』のために描かれた構想画で、コレクション展の会期ごとに公開されます。
続きを読む →
海岸の岩:《木靴職人》と同じ布の裏に広がるブルターニュの海辺
ポール・ゴーギャンが1888年に描いた《海岸の岩》は、名古屋の愛知県美術館が所蔵する油彩画です。同じカンヴァスの裏面には《木靴職人》が描かれており、二つで一枚。コレクション展の会期ごとに公開される作品です。
続きを読む →
木靴職人:一枚のカンヴァスの表側に描かれたゴーギャンの職人像
ポール・ゴーギャンが1888年に描いた《木靴職人》は、名古屋の愛知県美術館が所蔵する油彩画です。実は同じカンヴァスの裏側に《海岸の岩》が描かれた両面画で、常設展示ではなくコレクション展の会期ごとに公開されます。
続きを読む →
ゴーギャン「家畜番の少女」:静岡にある、フレスコ画のような静けさ
ゴーギャンがタヒチへ渡る前、フランスのブルターニュ地方で描いた1889年の油彩です。薄く平面的に塗られた画面は古いフレスコ画のような静けさをたたえています。東西の風景画を集める静岡県立美術館の収蔵品展で、大人500円で公開されることがあります。
続きを読む →ドガ「マネとマネ夫人像」:北九州にある、切り裂かれた友情の肖像
ドガが友人のマネ夫妻に贈った肖像画です。夫人の顔の部分がマネの手で切り取られ、それを見たドガが怒って絵を持ち帰ったと伝えられています。断ち切られた画面がそのまま残る一枚を、北九州市立美術館のコレクション展で一般300円で見られます。
続きを読む →
コンスタブル「デダムの谷」:郡山にある、駆け出しの画家が描いた故郷
イギリス風景画を代表するコンスタブルが、画家を志して間もない1802年に故郷の谷を描いた油彩です。イギリス美術を収集の柱に掲げる郡山市立美術館が所蔵し、常設展のなかで展示替えをしながら公開しています。観覧料は一般200円です。
続きを読む →モネ「ジヴェルニーの積みわら、夕日」:さいたま市が持つ、連作前夜の積みわら
モネの代表作として知られる《積みわら》の連作に先立つ、1888〜89年の一枚です。埼玉県立近代美術館が開設準備室時代の1981年に購入したコレクションの顔で、常設展「MOMASコレクション」で一般200円で見られます。夕日に包まれた麦わらの山が主役です。
続きを読む →モネ「ポール=ドモワの洞窟」:水戸で会える、荒海の島に向き合った一枚
睡蓮の画家として知られるモネが1886年、ブルターニュ沖の島に滞在して描いた岩と海の一枚です。茨城県水戸市の茨城県近代美術館が所蔵し、所蔵作品展のなかで展示替えをしながら公開しています。観覧料は一般360円で、地元作家の作品とあわせて見られます。
続きを読む →
街路の力:路面電車が三度描かれるイタリア未来派の代表作
イタリア未来派の中心画家ボッチョーニが1911年に描いた油彩で、大阪中之島美術館が所蔵します。ヘッドライトを点けた路面電車をコマ送りのように三度描き、青と紫の色面で夜の都市の速度と機械文明の到来を高らかに讃えた一点です。
続きを読む →ボア・ダムールの水車小屋の水浴:タヒチへ行く前のゴーギャンが描いたブルターニュの森
ゴーギャンが初めてブルターニュのポン=タヴェンに滞在した1886年の作品で、広島市のひろしま美術館が所蔵します。タヒチへ渡る前、まだ印象派の描法の面影を残していた時期の貴重な一点。二年後にナビ派が生まれる森が舞台です。
続きを読む →
ひまわり(SOMPO美術館):アジアで唯一見られるゴッホの黄色い一点
ゴッホが1888年のアルルで描いた《ひまわり》で、東京・新宿のSOMPO美術館が所蔵します。ゴッホの《ひまわり》をアジアで見られるのはここだけ。1945年に芦屋で焼失したもう一枚の記憶とも結びつく作品です。
続きを読む →睡蓮(東京富士美術館):浮世絵の「切り取り」を取り入れたモネ68歳の水面
モネが68歳の1908年に描いた《睡蓮》連作の一点で、東京都八王子市の東京富士美術館が所蔵します。明暗を抑えた繊細で優美な色づかいと、浮世絵に学んだ大胆な構図の切り取りが響き合う、連作のなかでも最も軽快な作風といわれる一枚です。
続きを読む →
ヘレヴーツリュイスから出航するユトレヒトシティ64号:ターナーが赤い一点で勝負を決めた海景画
イギリスを代表する画家ターナーが1832年に描いた海景画で、東京都八王子市の東京富士美術館が所蔵します。ロイヤル・アカデミー展でコンスタブルの大作と並べられ、最後に赤いブイを描き足したという逸話で知られる一点です。
続きを読む →日本風の花瓶(ルドン):壺に描かれたのは能か歌舞伎の一場面
ルドンが1908年に描いた《日本風の花瓶》。夢のような花束を受けとめる壺には、赤い袴の人物が描かれています。ポーラ美術館は「鬼と若武者」を題材にした能または歌舞伎の一場面と見ています。展示室5で展示中です。
続きを読む →4人の水浴の女たち(セザンヌ):ピカソやマティスが追いかけた小さな水浴図
セザンヌが1877〜1878年に描いた《4人の水浴の女たち》。縦38センチほどの小さな画面に、マティスやピカソを動かした構築的な絵づくりが詰まっています。水浴図は20世紀美術の出発点となった主題です。箱根のポーラ美術館の展示室5で展示中です。
続きを読む →秋の海(クールベ):雲と波だけで描かれた、海そのものの肖像
写実主義の巨匠クールベが1867年に描いた《秋の海》。厚い雲と砕ける波だけが向き合う画面に人の姿はなく、水平線に小さな帆が二つ浮かぶだけです。持ち主を替えながら各国を巡り、1982年に大原美術館へ入りました。いまは倉敷の本館で公開されています。
続きを読む →りんご採り(ピサロ):最後の印象派展に並んだ、点描の果樹園
印象派の長老ピサロが点描の技法で描いた1886年の《りんご採り》。パリで開かれた最後の印象派展に出品された一点で、1917年にはすでに日本へ渡っていました。いまは倉敷の大原美術館の本館で公開されています。
続きを読む →木を伐る人(ホドラー):スイス紙幣を飾った、斧を振り下ろす一瞬
スイスの画家ホドラーが1910年に描いた《木を伐る人》。斧を振り下ろす木こりの姿は、スイスの50フラン紙幣の意匠にもなりました。1922年に児島虎次郎の手で日本へ渡り、いまは倉敷の大原美術館の本館で見ることができます。
続きを読む →
モネの睡蓮の池:アーティゾン美術館が持つ縦長の水面
アーティゾン美術館が所蔵する、クロード・モネ1907年の油彩です。縦長のカンヴァスに、睡蓮と柳の反映が重なる水面だけを描いています。淡い朱色を帯びた水面は日没が近い時間を示すもの。現在は石橋財団コレクション選で展示されています。
続きを読む →バルコニーの女と子ども:モリゾが自宅から描いた1872年のパリ
アーティゾン美術館が所蔵する、ベルト・モリゾ1872年の油彩です。パリの自邸のバルコニーから、女性と子どもが街を見下ろす情景を描いています。モデルは画家の姉と姪、背景は当時のパリの実景。現在は石橋財団コレクション選で展示されています。
続きを読む →ピアノを弾く妻イーダのいる室内:音のない絵に音を響かせるハンマースホイ
デンマークの画家ハンマースホイが1910年に描いた室内画です。妻イーダの後ろ姿と、こちらに向かって開いた扉が、音のない画面に静かな余韻を生みます。2008年に国立西洋美術館が購入し、いまは上野の常設展で公開されている一点です。
続きを読む →エル・グレコの十字架のキリスト:炎のように伸びた身体が語る晩年の様式
国立西洋美術館が所蔵する、エル・グレコ晩年の宗教画です。炎のように引き伸ばされた身体と荒々しい筆致、現実離れした色彩が大きな特徴。スペインのアルバ公家からパリの画商を経て、1974年に同館が購入しました。上野の常設展で公開されています。
続きを読む →海辺に立つブルターニュの少女たち:平らな色面で描いたゴーガンの海
上野の国立西洋美術館が所蔵する、ポール・ゴーガン1889年の油彩です。ブルターニュの海辺に立つ二人の少女を、平坦な色面と様式化された波で描いています。松方幸次郎が集めた作品としてフランス政府に接収され、1959年に返還された一点。いまは常設展で公開されています。
続きを読む →
ファン・ゴッホ《白い花瓶のバラ》:パリ時代の色彩実験
吉野石膏コレクションの一点であるファン・ゴッホ《白い花瓶のバラ》は、1886年のパリ時代に描かれた油彩画。37×25.5センチの小さな画面に、明るい色彩をつかみ直そうとする画家の試みが凝縮されています。山形美術館での公開は2026年8月22日に終了しました。
続きを読む →ルドン《ペガサスにのるミューズ》:群馬で見る「黒」から色彩へ転じた飛翔
群馬県立近代美術館(高崎市)が所蔵するルドン《ペガサスにのるミューズ》は1907〜10年の油彩画。白黒の幻想画家が50歳を過ぎて色彩へ踏み出した時期の作で、詩と絵画と知による飛翔を象徴します。設備更新工事による休館を経て、同館は2026年9月19日にリニューアルオープン。コレクション展示での公開は会期によります。
続きを読む →ブーシェ《アウロラとケファロス》:名古屋で見る2メートル超のロココ大作
ヤマザキマザック美術館(名古屋市)が所蔵するブーシェ《アウロラとケファロス》は1745年頃の油彩画。縦横2メートルを超える画面に、曙の女神と美青年ケファロスの神話を甘美に描いた、同館が誇るロココ絵画の名品です。常設展示で公開されています。
続きを読む →モネ《アヴァルの門》:宍道湖のほとりで見るエトルタの断崖
島根県立美術館(松江市)が所蔵するモネ《アヴァルの門》は1886年の油彩画。ノルマンディーの海岸エトルタで、波が削ったアーチ状の断崖と針岩を粗い筆触で描いています。西洋絵画は通期展示が基本で、コレクション展(一般400円)で会いやすい一点です。
続きを読む →
ルノワール《赤い服の女》:八王子で会える「真珠色の時代」への入口
東京富士美術館(東京都八王子市)が所蔵するルノワール《赤い服の女》は1892年頃の油彩画。赤い服と黄色い帽子の若い女性を描き、輪郭がやわらいで光に溶けていく「真珠色の時代」への転換を示す一枚です。2026年秋からは巡回展「わたしたちのルノワール」に貸し出されます。
続きを読む →マルトX夫人―ボルドー:ロートレックが最晩年に残した油彩の肖像
ロートレックが亡くなる前年の1900年に描いた肖像画で、岡山県倉敷市の大原美術館が所蔵します。白い衣装の女性を椅子に座らせ、静かにとらえた油彩です。児島虎次郎が集めた大原コレクションの名品として、本館第1室で公開されています。
続きを読む →泉による女(ルノワール):大原美術館が伝える、73歳の巨匠の裸婦像
ルノワールが73歳の1914年に描いた裸婦像で、岡山県倉敷市の大原美術館が所蔵します。大原孫三郎が支援した洋画家・満谷国四郎を介して日本にわたったと伝えられる一枚です。2026年8月時点では貸出中で、特別展として全国5会場を巡回しています。
続きを読む →
グランカンの干潮:スーラが点描と黄金分割で組み立てたノルマンディーの浜辺
スーラが1885年に描いたノルマンディーの海辺の風景です。黄金分割にもとづく構図と綿密な点描で組み立てられ、「新印象派」という呼び名が生まれた第2回アンデパンダン展に出品されました。神奈川県箱根町のポーラ美術館の展示室1で公開中です。
続きを読む →砂糖壺、梨とテーブルクロス:セザンヌが静物画を「構築物」に変えた一枚
セザンヌが1893〜94年に描いた静物画で、神奈川県箱根町のポーラ美術館が所蔵します。傾いた机から転がり落ちそうな梨を、白い砂糖壺が支点となってつなぎとめる構図が見どころです。同館が持つ9点のセザンヌの中核をなし、展示室5で公開されています。
続きを読む →ジヴェルニーの積みわら(モネ):ポーラ美術館で見る、連作誕生前夜の光
モネが1884年に描いた《ジヴェルニーの積みわら》は、神奈川県箱根町のポーラ美術館が所蔵する油彩画です。のちの「積みわら」連作へ向かう出発点にあたる一枚で、牧草地に降りそそぐ光を明暗の強い対比でとらえています。2026年8月時点では展示室1で公開中です。
続きを読む →
パリスの審判:ルノワールが最晩年にたどりついた神話の楽園
ルノワールが70代でたどりついたギリシア神話の一場面です。広島市中区のひろしま美術館が所蔵していますが、現在は巡回展「わたしたちのルノワール」に貸し出され、熊本県立美術館と東京冨士美術館の2会場のみで公開されます。訪問先の確認が必要な一点です。
続きを読む →
灰色の羽根帽子の婦人:マネが最晩年に残したパステルの横顔
マネが亡くなる前年、1882年に描いたパステル画です。羽根と花を飾った帽子の女性を、横顔でやわらかくとらえています。広島市中区のひろしま美術館が所蔵し、本館のコレクション展示で公開中。油彩とは違うパステルの軽やかな線が味わえる一点です。
続きを読む →帽子をかぶった自画像:セザンヌが自分だけを見つめた緑の一枚
セザンヌが1890年代前半に描いた自画像で、東京・京橋のアーティゾン美術館が所蔵しています。緑を基調とする規則正しい筆触と、意図的な塗り残しが特徴です。公開は展示替えのある「石橋財団コレクション選」の中で行われるため、訪問前の確認が欠かせません。
続きを読む →ピアノを弾く若い男:印象派には珍しい、男性とピアノの室内画
カイユボットが1876年の第2回印象派展に出品した室内画で、弾いているのは画家の弟マルシャルです。当時は珍しかった男性とピアノの組み合わせで知られます。東京・京橋のアーティゾン美術館が所蔵し、「石橋財団コレクション選」の5階展示室で公開されています。
続きを読む →すわるジョルジェット・シャルパンティエ嬢:ルノワールが4歳の少女を包んだ青
ルノワールが1876年に描いた4歳の少女の肖像画です。モデルは画家を支えた出版業者シャルパンティエの長女。東京・京橋のアーティゾン美術館が所蔵し、「石橋財団コレクション選」で公開されています。大人用の椅子との対比と、影に引かれた青い線が見どころです。
続きを読む →ミレー《春(ダフニスとクロエ)》:2メートル超の装飾画に描かれた幼い恋
《種をまく人》で知られるミレーが1865年に描いた、高さ2メートルを超える装飾画。古代ギリシャの恋愛物語を主題に、幼い愛の芽生えを柔らかく描きます。国立西洋美術館の松方コレクションの一点です。
続きを読む →クールベ《波》:物語を一切排して描かれた、エトルタの荒海
写実主義の巨匠クールベが1870年頃に描いた海の絵。ノルマンディー地方エトルタの嵐の海を、物語要素を一切排して捉えます。国立西洋美術館が所蔵する松方コレクションの一点で、展示は時期によって入れ替わります。
続きを読む →クラーナハ《ホロフェルネスの首を持つユディト》:37センチの板に宿る「女のちから」
ドイツ・ルネサンスの巨匠クラーナハが1530年頃に描いた板絵。敵将の首を手に、身じろぎもせずこちらを見つめる女性を描きます。国立西洋美術館が2018年に購入した新しい収蔵品で、常設展で見られます。
続きを読む →ゴッホ《ばら》:療養院の庭で咲いた、うねる筆の花
ファン・ゴッホが1889年、入院先のサン=レミの精神療養院に咲くばらを描いた小品。最晩年に特徴的な激しくうねる筆づかいがすでに現れています。国立西洋美術館の松方コレクションの一点で、常設展で見られます。
続きを読む →モネ《舟遊び》:画面の大半が水面という大胆な一枚
クロード・モネが1887年に描いた《舟遊び》は、国立西洋美術館が所蔵する松方コレクションの代表作。画面のほとんどを水面が占め、小舟も娘たちも風景の一部のように溶けこみます。上野の常設展で会える名画です。
続きを読む →髪をほどいた横たわる裸婦:日本にある唯一のモディリアーニの裸婦像
モディリアーニが1917年に描いた裸婦像で、大阪中之島美術館の所蔵。日本国内で唯一のモディリアーニの裸婦像として知られます。1989年に大阪市が約19億円で購入するまでの来歴と、見どころ、展示状況を紹介します。
続きを読む →
りんごとナプキン:「りんご1つでパリを驚かせる」と語ったセザンヌの静物画
セザンヌが1879〜80年に描いた静物画で、東京・新宿のSOMPO美術館が所蔵します。りんごと白い布を別々の視点から捉えた画面は、写実を超えた「構成」への挑戦。見どころと展示状況、日本へ渡った経緯をまとめました。
続きを読む →アリスカンの並木路、アルル:ゴッホと暮らした2か月にゴーギャンが描いた秋
ゴーギャンがアルルでファン・ゴッホと共同生活を送っていた1888年10月に描いた風景画。東京・新宿のSOMPO美術館が所蔵します。古代ローマの墓地遺跡アリスカンを舞台にした一枚の見どころと、展示状況をまとめました。
続きを読む →自画像:マネが残した2点だけの自画像、その1点が東京にある
近代絵画の扉を開いたマネは、生涯に2点しか自画像を残しませんでした。そのうちの1点が東京・京橋のアーティゾン美術館にあります。帽子をかぶり両手をポケットに入れて立つ全身像の見どころと、日本へ渡るまでの道のりを紹介します。
続きを読む →サント=ヴィクトワール山とシャトー・ノワール:セザンヌ最晩年の到達点が東京・京橋に
セザンヌが故郷の山を描き続けた連作の最終盤にあたる油彩。東京・京橋のアーティゾン美術館が所蔵する、石橋財団コレクションを代表する一枚です。1923年にパリで購入されて日本へ渡った来歴と、20世紀絵画への影響、鑑賞のポイントを紹介します。
続きを読む →人生は戦いなり(黄金の騎士):クリムトが金箔で描いた寓意の騎士
クリムトが1903年に描いた《人生は戦いなり(黄金の騎士)》は、愛知県美術館(名古屋市)の所蔵品です。日本の公立美術館が収蔵した最初のクリムト油彩画で、金箔の輝きは実物でしか味わえません。通年展示ではないため、事前の確認が欠かせない一点です。
続きを読む →種をまく人:ミレーが大地に刻んだ農夫の力強い一歩
ミレーが1850年に描いた《種をまく人》は、山梨県立美術館(甲府市)の所蔵品です。1978年の開館時に収蔵され、同館が「ミレーの美術館」と呼ばれる出発点になりました。ボストン美術館にもよく似た1点があり、その関係もあわせて紹介します。
続きを読む →
アザミの花:ゴッホが最期の夏に描いた野の花の静物
ゴッホが1890年6月にオーヴェールで描いた《アザミの花》は、ポーラ美術館(神奈川県箱根町)の所蔵品です。浮世絵の影響を示す輪郭線とうねる絵具が、亡くなる1か月ほど前の画家のまなざしを伝えます。2026年8月時点では展示室5で公開中です。
続きを読む →
睡蓮の池:モネが自分の庭に架けた日本風の太鼓橋
モネが1899年に描いた《睡蓮の池》は、ポーラ美術館(神奈川県箱根町)の所蔵品です。ジヴェルニーの「水の庭」と、浮世絵にあこがれて架けた日本風の太鼓橋を描いた18点の連作の1点。日本で本物に会える貴重な睡蓮の絵で、2026年8月時点では展示中です。
続きを読む →レースの帽子の少女:ルノワールが白い帽子に込めた光と喜び
ルノワールが1891年に描いた《レースの帽子の少女》は、神奈川県箱根町のポーラ美術館の所蔵品です。透けるレースの軽さを絵具の重なりだけで描き出した一点で、日本にいながらルノワールの筆づかいに向き合えます。展示替えのある館なので、出かける前の確認が肝心です。
続きを読む →ゴッホ《ドービニーの庭》:死の直前に描かれた、猫の消えた庭
ゴッホが亡くなる直前の1890年7月に描いた横長の大作。バーゼルにある同主題の作品には前景に黒猫がいますが、ひろしま美術館の本作にはいません。科学調査で塗りつぶしの痕跡が確認されています。本館のコレクション展示で公開中です。
続きを読む →セガンティーニ《アルプスの真昼》:分割主義が描いた高原の光
アルプスの高原に立つ女性と羊を、真昼の強い光のなかに描いた1892年の作。純色の細い線を並べる分割主義の技法で、空気そのものが光るような画面をつくり出しています。大原美術館の所蔵ですが、パリの展覧会へ貸し出されており、2026年9月27日までの本館展示作品リストにも含まれていません。
続きを読む →ゴーギャン《かぐわしき大地》:花に手をのばす、タヒチのイヴ
ゴーギャンが最初のタヒチ滞在中に描いた1892年の代表作。大きな花に手をのばす女性と、顔の脇に浮かぶ翼のあるトカゲが、楽園と誘惑の物語を語ります。児島虎次郎が三度目の渡欧で購入し、大原美術館本館第1室で公開されています。
続きを読む →モネ《睡蓮》:画家本人から直接ゆずり受けた一枚
1920年、児島虎次郎がジヴェルニーのモネ本人を訪ね、直接交渉して手に入れた《睡蓮》。岸辺も空も描かず水面だけで構成された1906年頃の作で、1930年の開館時から倉敷で公開されています。大原美術館本館第1室で見ることができます。
続きを読む →エル・グレコ《受胎告知》:戦前から日本にある唯一のエル・グレコ油彩
1922年にパリで児島虎次郎が見出し、翌年から倉敷で公開されてきたエル・グレコの《受胎告知》。戦前から日本にあった唯一のエル・グレコ油彩です。2025年に約60年ぶりの修復を終え、渦巻く闇と鋭い光がよみがえりました。大原美術館本館第3室で公開されています。
続きを読む →
サン=ベルナール峠を越えるボナパルト:英雄ナポレオンの原型をつくった構図
白馬にまたがり腕を掲げるナポレオン。英雄像を決定づけたダヴィッドの有名な構図の作例を、東京富士美術館が所蔵しています。1805年のダヴィッド工房作で、縦73.5センチの小ぶりな画面。巡回展で各地を旅することもある一枚です。同館は館内整備のため2026年10月2日まで休館しています。
続きを読む →眠る二人の子供:ルーベンスが姪と甥に向けたやわらかな眼差し
ルーベンスが亡き兄の遺した姪と甥を描いた1612年頃の油彩スケッチ。素早い筆さばきと幼子の頬の質感が魅力で、二人の顔は後にミュンヘンやルーヴルの大作へ転用されました。国立西洋美術館の常設展で公開されています。
続きを読む →
煙草を吸う男:燃え木の光が照らす、ラ・トゥールの静かな一枚
世界に約40点しか残らないラ・トゥールの真作のひとつで、日本国内にある2点のうちの1点。燃え木の光に照らされた男を描いた1646年の作品で、1985年にパリの競売で東京富士美術館が購入しました。八王子市の同館が所蔵しています。
続きを読む →アルジェリア風のパリの女たち(ハーレム):ドラクロワに挑んだ31歳のルノワール
ルーヴルにあるドラクロワ《アルジェの女たち》を下敷きに、31歳のルノワールが1872年に描いた初期の代表作。モデルはパリの女性で、舞台もパリの室内です。松方コレクションとして日本へ渡り、国立西洋美術館の常設展で公開されています。
続きを読む →睡蓮、柳の反映:上半分を失って戻ってきたモネの大作
モネが1916年に描いた幅4メートル超の大作。松方幸次郎が画家本人から買い取ったものの戦争で行方不明になり、2016年にフランスで再発見されました。画面の上半分を失ったまま国立西洋美術館へ寄贈され、いまは上野の常設展で公開されています。
続きを読む →悲母観音:狩野芳崖が死の直前に描いた、近代日本画の出発点
狩野芳崖が亡くなる4日前まで筆を執った絶筆にして、近代日本画の出発点とされる重要文化財。観音が水瓶から注ぐ水が泡となり、その中に赤子が浮かびます。東京藝術大学大学美術館が所蔵し、常設展示はありません。
続きを読む →洛中洛外図屏風 舟木本:岩佐又兵衛が描いた、約2500人の京都
元和初年頃の京都を六曲一双に描いた国宝。方広寺大仏殿と二条城を左右の端に対置し、およそ2500人もの人物が生き生きと動きます。東京国立博物館が所蔵し、公開は数年に一度という限られた機会のみです。
続きを読む →天橋立図:80歳の雪舟が描いた、日本三景の壮大な鳥瞰図
室町水墨画の巨匠・雪舟が80歳前後に丹後を訪ね、天橋立と周辺の社寺を鳥瞰的にとらえた国宝。20枚もの小さな紙を貼り継いだ料紙に描かれ、下絵と考えられています。京都国立博物館が所蔵し、公開は期間限定です。
続きを読む →吉原格子先之図:葛飾応為が光と闇で描いた、夜の吉原
北斎の娘・葛飾応為による肉筆浮世絵。提灯や店の灯りなど複数の光源を使い分け、夜の吉原を明暗のドラマとして描きました。太田記念美術館が所蔵し、公開は数年に一度の展覧会の機会に限られる貴重な一枚です。
続きを読む →黒船屋:竹久夢二の最高傑作、年に一度だけ姿を見せる美人画
黒猫を抱く女性を描いた、大正ロマンを象徴する竹久夢二の代表作。作品保護のため、群馬・伊香保の記念館で年に一度、数日から2週間ほどの特別公開に限って姿を現します。公開時期は年によって変わるため確認が必要です。
続きを読む →秋田の行事:藤田嗣治が15日で描いた、幅20メートルの大壁画
高さ3.65メートル、幅20.5メートル。藤田嗣治が秋田の米蔵にこもり、わずか15日、実働174時間で描き上げた巨大壁画です。秋田県立美術館の2階大壁画ギャラリーで常設展示され、いつでも実物に会えます。
続きを読む →道:東山魁夷が一本の道だけで描いた、絶望と希望
1950年の第6回日展出品作。草地を貫く一本の道以外をすべて省いた画面によって、東山魁夷は風景画家としての地位を確立しました。東京国立近代美術館が所蔵し、所蔵作品展で展示替えを伴いながら公開されます。
続きを読む →生々流転:全長40メートル、水の一生を追う横山大観の水墨絵巻
一滴の水が渓流となり大河となり、海で龍となって天へ昇るまでを、墨だけで全長約40メートルに描いた重要文化財。東京国立近代美術館が所蔵し、全巻をまとめて公開できるのは企画展を行うときに限られます。
続きを読む →炎舞:速水御舟が描いた、炎に群がる蛾の幻想
速水御舟が1925年に描いた重要文化財。闇に揺れる焚き火と、そこへ集まる十数匹の蛾を、徹底した写生と装飾的な造形で描き切りました。山種美術館が所蔵し、常設展示はなく展覧会ごとの入れ替えで公開されます。
続きを読む →源氏物語絵巻:現存最古の絵巻が伝える、平安王朝の光と影
紫式部の物語を12世紀に絵画化した、現存する日本最古の絵巻。国宝の原本は徳川美術館と五島美術館に分蔵され、公開は年にわずかな期間だけです。吹抜屋台や引目鉤鼻など、日本絵画の原型といえる表現がここに詰まっています。
続きを読む →動植綵絵:伊藤若冲が10年かけて描いた30幅、皇居三の丸尚蔵館の国宝
伊藤若冲が相国寺へ寄進した30幅の花鳥画。現在は皇居三の丸尚蔵館が所蔵する国宝で、公開は数幅ずつが通例です。相国寺承天閣美術館では寄進当時の姿が複製で再現されています。
続きを読む →紅白梅図屏風:尾形光琳が晩年にたどり着いた、水流と紅白の梅の対決
図案化された水流を挟み、老いた白梅と若い紅梅が向き合う尾形光琳晩年の国宝。静岡県熱海市のMOA美術館が所蔵し、梅の見頃に合わせて毎年二月ごろに公開されます。
続きを読む →
鳥獣人物戯画:兎と蛙が遊ぶ国宝絵巻、原本は二つの国立博物館に寄託
「日本最古の漫画」とも呼ばれる高山寺伝来の国宝絵巻。甲・丙巻は東京国立博物館、乙・丁巻は京都国立博物館に寄託され、原本の公開は数年に一度。高山寺石水院では複製が通常公開されています。
続きを読む →松林図屏風:長谷川等伯が墨だけで描いた霧、日本水墨画の最高峰
墨の濃淡だけで湿った空気を描き出した長谷川等伯の国宝。東京国立博物館が所蔵し、近年は毎年正月に本館2室(国宝室)で公開されるのが恒例になっています。
続きを読む →麗子微笑:岸田劉生が娘を描いた、愛らしさと不気味さが同居する重要文化財
岸田劉生が8歳の長女・麗子を描いた大正期の代表作で、重要文化財。写実を突き詰めた結果、どこか現実離れした存在感が生まれています。東京国立博物館蔵で、公開は期間限定です。
続きを読む →湖畔:黒田清輝が芦ノ湖畔で描いた、日本近代洋画を代表する夏の一枚
浴衣姿の女性が団扇を手に湖畔に座る、黒田清輝の重要文化財。芦ノ湖畔で描かれ、当初は《避暑》と題されました。上野の黒田記念館で新年・春・秋の年三回、各二週間ほど公開されます。
続きを読む →神奈川沖浪裏:千円札にもなった葛飾北斎の大波、日本で実物を見るには
葛飾北斎「冨嶽三十六景」の一図で、世界的に知られる大波の錦絵。木版画のため国内でも複数館が所蔵します。すみだ北斎美術館の常設展は高精細レプリカで、原本の公開は企画展に限られます。
続きを読む →
見返り美人図:切手で知られる菱川師宣の肉筆浮世絵、実は文化財指定なし
振り返る一瞬をとらえた菱川師宣の肉筆浮世絵。切手の図案として全国に知られますが、国宝にも重要文化財にも指定されていません。東京国立博物館蔵で、公開は不定期です。
続きを読む →燕子花図屏風:金地に咲くカキツバタだけで水辺を描いた尾形光琳の国宝
総金地にカキツバタの群れだけを描き、水も橋も省いて『伊勢物語』の一場面を成立させた尾形光琳の国宝。根津美術館が所蔵し、花の見頃に合わせて毎年春に約一か月だけ公開されます。
続きを読む →風神雷神図屏風:俵屋宗達が描いた、日本美術でもっとも有名な二神
金地の屏風から飛び出す風神と雷神。俵屋宗達の代表作にして国宝です。所有は京都・建仁寺ですが実物は京都国立博物館に寄託され、公開は不定期。建仁寺では高精細複製が拝観コースで見られます。
続きを読む →