レースの帽子の少女:ルノワールが白い帽子に込めた光と喜び

レースの帽子の少女:ルノワールが白い帽子に込めた光と喜び

名画
作者
ピエール=オーギュスト・ルノワール
制作年
1891年
所蔵
ポーラ美術館
所在地
神奈川県箱根町

ルノワールが1891年に描いた《レースの帽子の少女》は、神奈川県箱根町のポーラ美術館の所蔵品です。透けるレースの軽さを絵具の重なりだけで描き出した一点で、日本にいながらルノワールの筆づかいに向き合えます。展示替えのある館なので、出かける前の確認が肝心です。

白いレースの帽子をかぶった少女が、青と緑がとけあう背景のなかで、そっと視線を落としています。ピエール=オーギュスト・ルノワールが1891年に描いた《レースの帽子の少女》は、神奈川県箱根町のポーラ美術館が所蔵する一点です。海外へ出かけなくても、ルノワール円熟期の柔らかな筆づかいに向き合える作品として知られています。

《レースの帽子の少女》とは

制作年は1891年、技法は油彩・カンヴァス、大きさは55.1×46.0センチメートルです。ポーラ美術館での作品番号は016-0022とされています。画面のほとんどを占めるのは、ふわりと盛り上がった白いレースの帽子と、そのかげでほおを染めた少女の横顔です。

ポーラ美術館の解説は、レースの帽子の質感や軽やかさを伝える筆致から、ルノワールの「描く喜び」が感じ取れると紹介しています。ルノワールは衣装の質感を描き出すことにすぐれた画家でした。父が仕立屋、母がお針子だったという生い立ちが、布への感覚を育てた可能性も指摘されています。白いレースの帽子は、夢見るような表情の少女の魅力をいっそう引き立てており、ファッションという要素がルノワールの絵画で大きな役割を果たしていたことがよくわかります。

ポーラ美術館はルノワール作品を複数所蔵しています。《アネモネ》《髪かざり》《水浴の後》《休息》《エッソワの風景、早朝》など、静物から風景、裸婦まで幅広く、画家の長い歩みをたどれる構成です。そのなかで本作は、人物画家としてのルノワールの持ち味が最もわかりやすく凝縮された一点だといえます。

どこで見られる?

  • 所蔵先:ポーラ美術館
  • 所在地:神奈川県足柄下郡箱根町仙石原小塚山1285(富士箱根伊豆国立公園内)
  • 展示状況:通年の常設展示ではありません。ポーラ美術館は所蔵品を入れ替えながら公開しており、公式サイトの各作品ページに「展示中」と表示されているものが、その時点で会場に出ています。2026年8月の時点で、本作のページに「展示中」の表示はありません
  • 観覧料:大人2,200円、大学・高校生1,700円、中学生以下無料。障害者手帳をお持ちの本人と付添者1名までは1,100円です
  • 開館時間:午前9時から午後5時まで(入館は午後4時30分まで)。展示替えのための臨時休館があります

展示状況や観覧料は所蔵館の公式サイトで確認してください。

見どころ3選

  • 帽子のレース:白に淡い桃色や水色を差した細かな筆触が幾重にも重なり、透ける素材の軽さが、絵具の厚みだけで表されています
  • 少女のまなざし:伏し目がちの静かな表情が、華やかな帽子とおだやかに響き合い、画面全体をひとつにまとめています
  • 背景の色:形をもたない青と緑の広がりが、少女の肌や髪の暖かい色をきわだたせ、人物を光のなかに浮かび上がらせています

この絵が日本にある理由

ポーラ美術館は、ポーラ創業家2代目の鈴木常司が40数年かけて収集した作品を母体として、2002年9月6日に箱根・仙石原で開館しました。西洋絵画のほか、日本の洋画、日本画、東洋陶磁、ガラス工芸、そして古今東西の化粧道具まで、収蔵の範囲は多岐にわたります。

建物は「箱根の自然と美術の共生」というコンセプトのもとに設計され、高さを地上8メートルに抑え、多くを地下に置くことで森にとけこむ姿になっています。展示室には独自に開発した照明システムが採用され、一点ごとの絵がもっとも美しく見えるように配慮されています。

ルノワールをはじめとする印象派の絵画が、日本の国立公園の森のなかで見られるのは、ひとりの実業家が長い年月をかけて集めた作品群が、散逸することなく一括して公開の場を得たからにほかなりません。ポーラ美術館は同時に、作品を貴重な文化財として永く保存するため、最適な保存環境の維持にも努めていると述べています。

まとめ

《レースの帽子の少女》は、箱根の森のなかで会えるルノワールです。ただしポーラ美術館は展示替えを前提とした美術館なので、この一点を目当てに行くなら、公式サイトの作品ページで「展示中」の表示を確かめてから出かけるのが確実です。表示がない時期でも、同館はモネやゴッホなど印象派・ポスト印象派の名品を数多く所蔵しており、訪ねる価値は十分にあります。