モナ・リザ:世界でもっとも有名な微笑み
- 作者
- レオナルド・ダ・ヴィンチ
- 制作年
- 1503-1519年
- 所蔵
- ルーヴル美術館
- 所在地
- フランス・パリ
レオナルド・ダ・ヴィンチが16年にわたり手元に置き描き続けた小さな板絵。ルーヴル美術館ドゥノン翼の「国家の間」で、防弾ガラスの空調ケースに単独で掛けられています。入館は日時指定の予約制です。
《モナ・リザ》は、レオナルド・ダ・ヴィンチが1503年頃に描き始め、生涯手元に置いて筆を入れ続けた小さな板絵です。現在はパリのルーヴル美術館が所蔵し、この一枚を見るためだけに世界中から人が集まります。世界でもっとも有名な絵画と呼ぶことに、異論を挟む人はまずいないでしょう。
モナ・リザとは
ルーヴル美術館の公式記録での正式名称は、《フランチェスコ・デル・ジョコンドの妻リザ・ゲラルディーニの肖像、通称ラ・ジョコンダまたはモナ・リザ》です。制作年は1503年から1519年、技法はポプラ板に油彩、寸法は縦79.4センチ×横53.4センチ、所蔵番号はINV 779とされています。実物の前に立った人がまず驚くのは、その小ささです。A3の紙をひとまわり大きくした程度の画面に、数百年分の視線が注がれてきました。
モデルはフィレンツェの絹商人フランチェスコ・デル・ジョコンドの妻、リザ・ゲラルディーニ(1479〜1542年)と考えられています。レオナルドは注文を受けながら作品を引き渡さず、未完のまま生涯持ち歩きました。1518年にフランス国王フランソワ1世の所有となり、1793年以降はルーヴルの収蔵品として公開されています。
どこで見られる?
- 所蔵先:ルーヴル美術館(Musée du Louvre)
- 都市:フランス・パリ
- 展示室:ドゥノン翼の1階(Level 1)、711号室「国家の間(サル・デ・ゼタ)」。ルーヴルで最も広い展示室で、作品は防弾ガラス入りの空調ケースに収められ、長い壁の中央に単独で掛けられています。向かい合う壁にはヴェロネーゼの巨大な《カナの婚礼》があります。
- 予約:公式サイトticket.louvre.frでの日時指定チケットの購入が勧められています。必須ではありませんが、混雑する日は当日券が取りにくく、無料入場の対象者にも時間帯の予約が推奨されています。
- 入館料:2026年時点で、欧州経済領域(EEA)居住者は22ユーロ、それ以外の来館者は32ユーロです。
- 今後の予定:2025年に発表された大規模改修計画「ルーヴル・ニュー・ルネサンス」では、2031年に開く予定のセーヌ川側の新入口とあわせ、《モナ・リザ》を専用の別室へ移して別チケットで公開する構想が示されています。
開館時間や入館料は所蔵館の公式サイトで確認してください。
見どころ3選
- スフマート:輪郭線を引かず、薄い絵具を何層も重ねて境界を煙のようにぼかす技法です。口元と目尻に集中的に使われているため表情が一つに定まらず、見る角度や時間によって印象が変わります。
- 上体のひねりと手:体を斜めに向けながら顔だけこちらへ返す構図、そして両手を静かに重ねて肘掛けに置く姿勢は、以後の西洋肖像画の型になりました。
- 背景の風景:左右で地平線の高さが揃わない、実在しない山岳風景が広がります。遠くほど青くかすませる空気遠近法によって、人物と自然が同じ大気の中に溶け合って見えます。
描かれた背景
15世紀の肖像画は、横顔で人物を描くのが主流でした。レオナルドは正面に近い四分の三の角度を採り、手までを画面に収め、背後に広大な自然を置きました。人物を記録するための絵から、人物の内面と世界のつながりを描く絵へと、肖像画の役割そのものを更新した一枚です。
この絵が「世界一有名」になった決定打は、1911年の盗難事件でした。空になった壁を見るために行列ができ、事件は連日報道され、名前が一気に世界へ広まります。犯人が捕まって作品が戻ったのは2年後のことでした。以後、防弾ガラスと厳重な警備に守られながら、ルーヴルの象徴であり続けています。
もう一つ、この絵を特別にしているのは「完成しなかった」という事実です。レオナルドは絵画だけでなく解剖学、光学、水流の観察に没頭し、多くの仕事を途中で手放しました。《モナ・リザ》は例外的に手放されなかった一枚で、十数年にわたって薄い層が重ねられ続けています。表面のわずかな凹凸や、描き直された指の位置の痕跡は、その長い時間の記録でもあります。
まとめ
ルーヴル美術館ドゥノン翼711号室、国家の間。日時指定の予約を取り、開館直後を狙うのが定石です。人の多さに驚くかもしれませんが、画面の小ささと、そこに凝縮された技法の密度は、実物の前でしか実感できません。訪問前には必ず公式サイトで最新の予約方法と料金を確認してください。