カリアティード:モディリアーニが彫刻家を目指した時代の女性像柱

画像:愛知県美術館蔵

カリアティード:モディリアーニが彫刻家を目指した時代の女性像柱

名画
作者
アメデオ・モディリアーニ
制作年
1911-13年
所蔵
愛知県美術館
所在地
愛知県名古屋市

アメデオ・モディリアーニが1911-13年に描いた《カリアティード》は、名古屋の愛知県美術館が所蔵する油彩画です。彼が彫刻に打ち込んでいた時期の連作の一点で、常設展示ではなくコレクション展の会期ごとに公開されます。

アメデオ・モディリアーニの《カリアティード》は、1911年から13年にかけて描かれた作品です。所蔵は名古屋市の愛知県美術館。細長い首の肖像画で知られる画家ですが、この一点は彼が画家ではなく彫刻家であろうとしていた時期の産物です。

《カリアティード》とは

愛知県美術館のコレクション検索によると、制作年は1911-13年、技法は油彩、画布・板、寸法は80.5×45.0センチ、資料番号はFO199600002000です。

カリアティードとは、ギリシャ建築で梁を支える役割をになう女性像柱のことです。同館の解説によれば、モディリアーニは1909年から1914年ごろまで彫刻に打ち込み、なかでもこの主題に強い関心を寄せました。ただし健康上の問題と経済的な事情から彫刻を断念せざるをえず、この主題の彫刻や油彩は数が少なく、素描が数多く残されています。本作はその数少ない油彩の一点です。

画面は縦長で、両腕を上げて重さを支えるような姿勢の女性が正面からとらえられています。アーモンド形の目、彫刻的な鼻、丸みのある胸。細部を省いた単純で原初的な形が、かえって強い印象を生みます。手足には筋肉の張りが感じられ、力強い生命力が表れています。頭を右に傾け、手足を左右非対称に置くことで生まれるゆるやかなS字の曲線が動きをつくり、左右で幅の違う茶色の帯が、その動きをさらに強めています。

同館の解説は、当時流行していた原始彫刻へのモディリアーニの関心が、この後の大胆な人物画の描き方に影響したことを指摘しています。彫刻を断念した経験が、彼の絵を決定づけたのです。

どこで見られる?

  • 所蔵先:愛知県美術館(愛知芸術文化センター10階)
  • 所在地:愛知県名古屋市東区東桜一丁目13番2号。地下鉄栄駅から徒歩5分ほどです。
  • 展示状況・観覧料:常設展示ではありません。同館のコレクション展は年に数期に分けて開かれ、会期ごとに作品が入れ替わります。この作品が出品されるかどうかも会期によって変わります。コレクション展の観覧料は一般500円、大学生300円、高校生以下は無料(20名以上の団体は一般400円、大学生240円)です。

展示状況や観覧料は所蔵館の公式サイトで確認してください。

見どころ3選

  • 絵でありながら彫刻:面を彫り出すように単純化された鼻や胸のかたち。石を刻もうとしていた画家の手つきが、絵具のうえに残っています。
  • 支える身体の緊張:両腕を上げ、見えない梁を受けとめる姿勢です。柱として建築に組み込まれた女性像という主題が、身体の張りとしてそのまま表れています。
  • 左右で幅の違う茶色の帯:画面の両脇にある帯の幅がそろっていません。この不均衡が、傾いた頭とあわせて画面に静かな揺れを生んでいます。

この絵が日本にある理由

愛知県美術館は、1955年に開館した愛知県文化会館美術館を前身とし、1992年に愛知芸術文化センター内であらためて開館しました。1987年に定めた収集方針では、20世紀の美術の展開とその特質に触れられることを軸に据え、グスタフ・クリムトやパブロ・ピカソ、ピエール・ボナール、マックス・エルンストといった西洋近代の作家を集めてきました。

《カリアティード》の資料番号はFO199600002000で、2012年度収蔵のゴーギャンがFO2012で始まるのと同じ形式です。1990年代に収蔵されたと考えられます。モディリアーニといえば肖像画という印象が強いだけに、彫刻に賭けた時期の一点を選んで持つことには、20世紀美術の展開をたどるという同館の方針がよく表れています。有名な作家の有名な顔ではなく、その手前にある試行錯誤を見せる。地方の公立館ならではの、腰の据わった選び方です。

まとめ

《カリアティード》は、名古屋の愛知県美術館で見られるモディリアーニの油彩画です。常設展示ではなく、コレクション展の会期に合わせて登場します。彫刻家になろうとして果たせなかった数年間が、この一枚には詰まっています。出かける前に、公式サイトで会期と出品作品を確かめておくと確実です。