ニューヨーク近代美術館(MoMA):「星月夜」が待つ、近現代美術の聖地
マンハッタンに1929年開館した、近現代美術専門の美術館。ゴッホ「星月夜」やルソー「眠るジプシー女」など、19世紀末から現代までの美術史を切り拓いた名品が並びます。
はじめに:近代美術という概念を作った美術館
ニューヨーク近代美術館(通称MoMA)は、1929年に設立された、近代・現代美術を専門とする世界で最初期の美術館です。設立を主導したのは、アビー・オルドリッチ・ロックフェラー、リリー・P・ブリス、メアリー・クイン・サリヴァンという3人の女性でした。世界恐慌が始まった年に五番街のビルの一室から出発し、初代館長アルフレッド・H・バー・ジュニアのもとで「同時代の美術を積極的に美術館の対象にする」という当時としては先進的な理念を掲げます。以来、絵画・彫刻だけでなく写真、映画、建築・デザイン、版画、メディアアートまで扱う総合的な近現代美術の殿堂となりました。現在の建物は2004年に日本の建築家・谷口吉生の設計で全面改築され、2019年にはさらに増築されて展示空間が大きく広がっています。
コレクション:美術史の教科書そのもの
収蔵品は約20万点。19世紀末の後期印象派から、キュビスム、シュルレアリスム、抽象表現主義、ポップアートを経て現代アートまで、近現代美術史の主要な流れをほぼ網羅するコレクションを誇ります。ゴッホ「星月夜」、ピカソ「アヴィニョンの娘たち」、ダリ「記憶の固執」、モネの大画面「睡蓮」、ウォーホル「キャンベルのスープ缶」、ワイエス「クリスティーナの世界」と、教科書に載る「あの絵」に次々と出会える構成は、美術ファンにとって夢のような体験です。建物に囲まれたアビー・オルドリッチ・ロックフェラー彫刻庭園も、休憩と鑑賞を兼ねた人気の空間になっています。
4つの見どころ
フィンセント・ファン・ゴッホ「星月夜」:渦巻く夜空と炎のような糸杉を描いた、ゴッホを代表する幻想的な一枚。南仏サン=レミの療養院で描かれた作品で、MoMAの象徴的存在です。
アンリ・ルソー「眠るジプシー女」:独学の画家ルソーが描いた、月夜の砂漠に眠る女性とライオンの幻想的な情景。夢とも現実ともつかない静けさが漂います。
サルバドール・ダリ「記憶の固執」:ぐにゃりと溶ける時計で知られる、シュルレアリスム絵画の代名詞。実物は驚くほど小さな画面で、細部の描き込みの精度に圧倒されます。
アンリ・マティス「ダンス」:鮮烈な色彩と単純化された人体で「生きる喜び」を表現した、フォーヴィスムの記念碑的作品です。
施設情報・アクセス
所在地:アメリカ・ニューヨーク(11 W 53rd St, New York, NY)
アクセス:ニューヨーク地下鉄E・M線「5 Av/53 St」駅から徒歩約3分。B・D・F・M線「47-50 Sts - Rockefeller Center」駅からも歩けます。
開館時間:10:30~17:30(金曜は夜間まで延長開館)
休館日:感謝祭、12月25日
入館料:大人30ドル(オンライン購入は28ドル)、16歳以下は無料。金曜の夜にはニューヨーク州民を対象とした無料入館の枠も設けられています。料金や時間は変更されることがあるため、訪問前に公式サイトでご確認ください。
代表作ギャラリー



作品画像はパブリックドメイン(出典: Wikimedia Commons)

