ソロモン・R・グッゲンハイム美術館:螺旋の建築で味わう、カンディンスキーの抽象
フランク・ロイド・ライト設計の渦巻き型の建築で知られるニューヨークの美術館。創設者ソロモン・グッゲンハイムが愛したカンディンスキーの抽象絵画コレクションが核となっています。
はじめに:建築そのものが美術品
ソロモン・R・グッゲンハイム美術館は、1959年にニューヨーク五番街、セントラル・パークに面して開館した美術館です。最大の特徴は、建築家フランク・ロイド・ライトが設計した渦巻き状のスロープを持つ建物そのもの。エレベーターで最上階まで上がり、緩やかならせん状の通路を下りながら作品を鑑賞するという、他に類を見ない体験ができる20世紀建築の傑作です。ライトが設計を依頼されたのは1943年のことで、完成を見ることなく1959年に世を去り、開館はその半年後のことでした。2019年には「フランク・ロイド・ライトの20世紀建築作品群」の一つとしてユネスコ世界遺産にも登録されています。
コレクション:抽象絵画への深い愛情
実業家ソロモン・グッゲンハイムは、画家ヒラ・レバイの助言を受けて1920年代から「非対象絵画」、すなわち抽象絵画に強い関心を寄せ、ワシリー・カンディンスキーの作品を集中的に収集しました。その結果、同館はカンディンスキー作品の世界最大級のコレクションを有しており、抽象絵画がどのように生まれ発展したかを体系的にたどることができます。加えて、画商ジャスティン・タンハウザーから遺贈されたコレクションには、セザンヌ、ゴッホ、ピカソら印象派から近代にかけての名品が数多く含まれ、抽象へ至るまでの前史もあわせて見渡せます。ヴェネツィアやビルバオなど各地に姉妹館を持つグッゲンハイム財団のネットワークの中心も、この建物です。
3つの見どころ
カンディンスキー「コンポジション8」
円と直線、鋭角が画面上で音楽のように響き合う、抽象絵画の到達点のひとつです。バウハウス時代の理知的な構成を、より情熱的な初期作と並べて確かめられるのは、100点を超える所蔵を持つ同館ならではの楽しみ方といえます。
カンディンスキー「青い山」とタンハウザー・コレクション
「青い山」は具象と抽象のあいだを揺れ動く、カンディンスキー初期の重要作です。同じ館内でセザンヌやピカソの近代絵画にも出会えるため、20世紀絵画がどこから来たのかをひと続きに追うことができます。
フランク・ロイド・ライトの螺旋建築
建物内部を貫く白い渦巻きのスロープは、それ自体が最大の展示品といえる存在感を放ちます。天窓を見上げ、吹き抜けを見下ろすたびに、同じ空間が違う表情を見せてくれます。
施設情報・アクセス
所在地: アメリカ・ニューヨーク(1071 5th Ave, New York, NY)
アクセス: ニューヨーク地下鉄4・5・6号線「86 St」駅から徒歩約10分
開館時間: 11:00~17:00前後(土曜は夜間開館)
休館日: 感謝祭、12月25日ほか。開館日・開館時間は時期により変動するため、訪問前に公式サイトでの確認をおすすめします。
入館料: 大人25~30ドル程度。土曜の夕方には料金を自分で決められる「ペイ・ホワット・ユー・ウィッシュ」の時間帯が設けられています。
代表作ギャラリー

作品画像はパブリックドメイン(出典: Wikimedia Commons)
