皇居三の丸尚蔵館:伊藤若冲の傑作も。皇室に伝わる至宝の殿堂

皇居三の丸尚蔵館:伊藤若冲の傑作も。皇室に伝わる至宝の殿堂

美術館

皇室に代々受け継がれた美術品が国に寄贈されたことを機に、皇居東御苑内に開館した美術館。伊藤若冲「動植綵絵」など約9800点を収蔵し、2026年秋には新施設として全面開館予定です。

はじめに:皇室の至宝を守り伝える場所

三の丸尚蔵館は、皇室に代々受け継がれてきた絵画・書・工芸品などの美術品が国に寄贈されたことを機に、1993年(平成5年)に皇居東御苑内に開館した美術館です。江戸城の三の丸跡にあたる場所に建つことが館名の由来です。2023年からは「皇居三の丸尚蔵館」と名を改め、新しい施設への建て替えが進められています。現在は工事のため休館しており、全面開館は2026年(令和8年)秋を予定しています。全面開館後の展示面積は約1,300平方メートルとなり、これまでより格段に多くの作品を公開できるようになります。

コレクション:皇室に受け継がれた美の粋

収蔵品は約9,800点。日本美術史の頂点に位置づけられる作品が数多く含まれ、国宝に指定されたものだけでも、伊藤若冲《動植綵絵》、狩野永徳《唐獅子図屏風》、《蒙古襲来絵詞》、《春日権現験記絵》、小野道風《屏風土代》があります。平安時代の名筆として名高い《粘葉本和漢朗詠集》もそのひとつで、唐紙の華やかな料紙と流麗な仮名が響き合う美しさは格別です。近代以降の帝室技芸員による工芸品や、諸外国から贈られた品々も含まれ、日本の美と外交の歴史が重なり合うコレクションとなっています。

伊藤若冲《動植綵絵》:奇想の絵師、畢生の大作

当館の代名詞とも言えるのが、江戸中期の絵師・伊藤若冲が約10年の歳月をかけて描き上げた《動植綵絵》全30幅です。鶏や魚、花や虫にいたるまで、あらゆる生きものを極彩色と執拗なまでの観察眼で描き尽くした連作で、若冲は釈迦三尊像とあわせてこれを京都・相国寺に寄進しました。のちに皇室へ献納され、2021年に国宝に指定されています。当サイトにも《動植綵絵》を紹介する記事がありますので、あわせてお読みください。全30幅が一度に並ぶ機会はまれで、展示替えで少しずつ公開されるのが通例です。

3つの見どころ

国宝級の名品との出会い:《動植綵絵》や《唐獅子図屏風》など、教科書で見た作品の実物に出会える、密度の高いコレクションです。

皇室文化の厚み:絵巻や名筆、帝室技芸員の工芸まで、時代も分野も横断して「守り伝えられた美」の系譜をたどれます。

皇居東御苑という立地:江戸城本丸跡の緑豊かな庭園を散策しながら訪ねられます。都心とは思えない静けさが、鑑賞前後の時間を豊かにしてくれます。

施設情報・アクセス

住所:〒100-0001 東京都千代田区千代田1-8(皇居東御苑内)

アクセス:東京メトロ「大手町」駅から大手門まで徒歩約5分、「竹橋」駅から平川門まで徒歩約5分

開館時間:9:30〜17:00(入館は16:30まで)

休館日:月曜日(祝日の場合は開館)、年末年始、天皇誕生日、展示替え期間

ご注意:新施設の建設工事のため現在は休館中で、2026年秋の全面開館が予定されています。訪問前に必ず公式サイトで最新の開館状況をご確認ください。