上野の森美術館:日本美術協会が上野公園で開く企画展の舞台

上野の森美術館:日本美術協会が上野公園で開く企画展の舞台

美術館

上野の森美術館は、公益財団法人日本美術協会が運営する美術館です。1972年4月に開館し、JR上野駅公園口から徒歩3分。VOCA展、上野の森美術館大賞展、日本の自然を描く展など、自主企画の公募展を長く続けている美術館です。

はじめに:上野公園に立つ、民間運営の美術館

上野の森美術館は、東京都台東区の上野公園にある美術館です。JR上野駅の公園口を出てすぐという、都内でも屈指の交通の便を持つ立地にあります。上野公園には国や東京都が設けた大きな館がいくつも集まっていますが、この館を運営しているのは公益財団法人日本美術協会という民間の団体です。国公立館とは成り立ちの異なる美術館が、同じ公園のなかで独自の役割を果たしています。

館の活動は、外部から巡回してくる大型の企画展と、館自身が主催する公募展の二本立てで進みます。

時代背景:龍池会から日本美術協会へ

運営母体である日本美術協会は、明治12年(1879年)に設立された龍池会を前身とする美術団体です。1883年(明治16年)には有栖川宮熾仁親王殿下が龍池会の総裁に就任し、以来、皇族が総裁を務める伝統が受け継がれてきました。現在の総裁は常陸宮正仁親王殿下です。

上野の森美術館そのものは、この協会が持っていた美術展示館の設備を一新するかたちで、1972年(昭和47年)4月に開館しました。つまり、まったくの新設ではなく、明治以来この場所で続いてきた美術展示の場が、現代の美術館として生まれ変わったということです。建物の設計管理は中山克己建築事務所、施工は鹿島建設株式会社が手がけています。

3つの見どころ

  • VOCA展の会場であること:全国の美術館学芸員や研究者らの推薦で選ばれた若手作家が、平面作品を出品する公募展「VOCA展」は、この館を舞台に開かれてきました。いま活動している同時代の作家の仕事を、まとめて見られる機会です。
  • 上野の森美術館大賞展:館の名を冠した公募展で、絵画を対象に広く作品を募る自主企画です。受賞作を含む入選作が館内に並び、公募展という制度そのものを間近に体感できます。
  • 日本の自然を描く展:日本の風景や自然を主題とする公募展で、これも館の主催で続いています。プロ・アマチュアを問わず作品が集まるため、他館の展覧会とは違った幅の広さがあります。

この館は特定の収蔵品を常設で見せることを主眼とはしていません。そのため見どころは「何が置いてあるか」ではなく「いま何が開かれているか」に宿ります。

鑑賞のコツ

訪問前に会期を確認しておくことが、この館ではとりわけ大切です。大型の企画展の期間と、館主催の公募展の期間とでは、館内の雰囲気も混み方もかなり異なります。話題の企画展では入場に待ち時間が生じることもあるため、開館直後の時間帯を狙うと落ち着いて見られます。

また、上野公園には他の美術館・博物館が徒歩圏に集まっています。一日で複数館をまわる計画を立てるなら、駅からもっとも近いこの館を最初か最後に組み込むと、動線に無理が出ません。

施設情報・アクセス

  • 住所:〒110-0007 東京都台東区上野公園 1-2
  • アクセス:JR上野駅公園口より徒歩3分、東京メトロ・京成電鉄上野駅より徒歩5分
  • 開館時間:10:00〜17:00(入場は閉館30分前まで)
  • 休館日:不定休

休館日が曜日で固定されていないため、訪問日が決まったら公式の開館カレンダーで確認してください。開館時間も展覧会によって変更されることがあります。

豆知識

「上野の森」という名は、上野公園の通称からとられたものです。館の正式な運営者である日本美術協会の歴史は、明治初期の美術団体である龍池会にまでさかのぼり、日本の近代美術の制度が形づくられていった時期と重なります。上野駅公園口から数分という距離でありながら、公園の木立に囲まれた静かな一角に建っている点も、この館ならではの環境といえます。

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2026年10月10日2027年1月10日