ちひろ美術館・東京:世界初の絵本美術館、いわさきちひろの自宅跡で出会うやさしい水彩

ちひろ美術館・東京:世界初の絵本美術館、いわさきちひろの自宅跡で出会うやさしい水彩

美術館

「窓ぎわのトットちゃん」の挿絵で知られるいわさきちひろの自宅兼アトリエ跡に、1977年開館した世界初の絵本専門美術館。世界の絵本画家の作品も収集しています。

はじめに:絵本のための美術館という発明

ちひろ美術館・東京は、1977年(昭和52年)に東京・練馬区の下石神井に開館した、世界で最初の絵本専門美術館です。にじむ水彩で子どもを描き続けた画家・いわさきちひろ(1918-1974)が、晩年まで暮らし制作した自宅兼アトリエの跡地に建てられました。姉妹館として1997年には長野県に安曇野ちひろ美術館が開館し、2002年には東京館も建築家・内藤廣の設計で新しい建物に生まれ変わっています。木のぬくもりと自然光をいかした小ぶりな展示室は、ちひろの淡い水彩画をやわらかく見せるために設計されました。

いわさきちひろという画家

ちひろは1918年に福井県武生市(現・越前市)で生まれ、東京で育ちました。戦後は紙芝居や絵雑誌の仕事から出発し、やがて輪郭線をあえて描かず、にじみとぼかしだけで子どもの一瞬の表情をとらえる独自の水彩表現にたどり着きます。55歳で亡くなるまでの画業のうち、後半のおよそ22年をこの下石神井の家で過ごしました。美術館が建つのは、まさにその制作の現場です。

コレクション:ちひろと世界の絵本画家

「窓ぎわのトットちゃん」の挿絵や「あめのひのおるすばん」「ことりのくるひ」、戦争への思いを込めた「戦火のなかの子どもたち」などで知られるちひろの作品を核に、世界各国の絵本画家の原画を体系的に収集しており、コレクションは約2万7千点にのぼります。展示は年に数回入れ替わる企画展形式のため、訪れるたびに違うちひろに出会えるのも魅力です。復元されたちひろのアトリエでは、画材や愛用品とともに、制作の息づかいをそのまま感じることができます。授乳室や絵本の部屋、子どもの遊び場を備え、子ども連れを歓迎する設計も徹底しており、「赤ちゃんのはじめての美術館体験」の場としても親しまれています。

3つの見どころ

ちひろのアトリエ再現:22年間使われたアトリエを忠実に復元。窓辺の椅子から庭を眺めれば、絵の世界が広がります。

世界の絵本画家コレクション:各国の絵本原画を通じて、絵本という芸術の奥深さに触れられます。国や時代によって異なる絵本表現を並べて比べられるのは、専門館ならではの体験です。

ちひろの庭:ちひろが愛した草花を植えた小さな庭。季節の花が水彩画の色そのままに咲きます。館内のカフェから庭を眺めながら休憩することもできます。

施設情報・アクセス

住所:〒177-0042 東京都練馬区下石神井4-7-2

アクセス:西武新宿線「上井草」駅から徒歩7分。JR中央線「荻窪」駅や西武池袋線「石神井公園」駅から西武バスで「上井草駅入口」下車、徒歩5分でも行けます。

開館時間:10:00~17:00(入館は16:30まで)

休館日:月曜日(祝日の場合は開館、翌平日休)、冬期、年末年始。ゴールデンウィークと夏休み期間は無休です。

入館料:大人1,200円、高校生以下は無料