大英博物館:ロゼッタストーンが眠る、人類の歴史そのものの博物館
ロンドンにある世界最古級の国立博物館。ロゼッタストーンやパルテノン神殿の彫刻群など、古代文明の至宝約800万点を無料で公開する、人類史の宝庫です。
はじめに:世界初の国立公共博物館
大英博物館は、1753年に設立され1759年に一般公開が始まった、世界で最初期の国立公共博物館です。医師・収集家であったハンス・スローン卿のコレクションを基礎とし、以来260年以上にわたって世界各地の文化財を収集してきました。中央の巨大なガラス屋根に覆われた「グレート・コート」は、ノーマン・フォスターの設計により2000年に完成した象徴的な空間です。
コレクション:古代文明の宝庫
収蔵品は約800万点。古代エジプト、古代ギリシャ・ローマ、メソポタミア、アジアなど、世界中の文明の至宝を網羅しています。美術館というより「人類の歴史博物館」というべきスケールで、常設展示は入館無料という太っ腹な運営方針も特徴です。
3つの見どころ
- ロゼッタストーン: 古代エジプトのヒエログリフ解読の鍵となった、歴史上最も重要な石碑のひとつです。
- パルテノン神殿の彫刻群(エルギン・マーブル): 古代アテネのパルテノン神殿を飾っていた彫刻群。返還をめぐる国際的な議論でも知られています。
- グレート・コート: ノーマン・フォスター設計の巨大なガラス屋根に覆われた中庭は、建築としても一見の価値があります。
ロゼッタストーンはどこにある?展示場所と行き方
お目当てがロゼッタストーンなら、迷わず1階(グラウンドフロア)のエジプト彫刻ギャラリー「4号室(Room 4)」へ向かいましょう。正面入口からグレート・コートに入り、左手(西側)の入口を抜けるとエジプト彫刻の展示室が広がっており、ガラスケースに守られたロゼッタストーンがギャラリーの中ほどに堂々と鎮座しています。高さ約112センチの黒っぽい花崗閃緑岩の石碑で、大英博物館で最も多くの来館者が足を止める展示品といわれています。
館内で最も人気の展示品だけあって、周囲には常に人だかりができています。じっくり鑑賞したい方は、比較的空いている開館直後の時間帯が狙い目です。また、1号室(エンライトンメント・ギャラリー)には実際に手で触れられるレプリカも置かれているので、本物とあわせて見比べれば、文字が刻まれた表面の質感まで確かめられます。
ロゼッタストーンとは?発見の経緯とシャンポリオンによる解読
ロゼッタストーンは、紀元前196年にエジプト王プトレマイオス5世をたたえる布告を刻んだ石碑の断片です。同じ内容が上段からヒエログリフ(神聖文字)、デモティック(民衆文字)、古代ギリシャ語の3種類の文字で併記されており、これが長く失われていたヒエログリフ解読の決定的な手がかりとなりました。
発見は1799年7月、ナポレオンのエジプト遠征のさなかのことでした。フランス軍将校ピエール=フランソワ・ブシャールが、ナイル川デルタの港町ラシード(欧名ロゼッタ)近郊で要塞工事の最中に偶然掘り当てたのです。1801年にエジプトのフランス軍がイギリス軍に降伏すると、講和の取り決めによって石碑はイギリスの手に渡り、1802年から今日までほぼ途切れることなく大英博物館で公開され続けています。
解読競争ではまずイギリスの学者トマス・ヤングが重要な糸口をつかみ、1822年、フランスのジャン=フランソワ・シャンポリオンがついにヒエログリフの読解原理を解明しました。これにより古代エジプト人が残した膨大な記録が読めるようになり、「エジプト学」という学問が幕を開けたのです。発見からわずか20年余りで3000年分の歴史の扉が開かれたことを思うと、この一枚の石が持つ意味の大きさが実感できるはずです。
入館は無料?予約は必要?
大英博物館の常設展は入館無料です(5ポンド程度の任意の寄付が推奨されています)。公式サイトでは無料の日時指定チケットを事前予約でき、予約者は優先的に入場できます。予約なしの当日入場も可能ですが、混雑時にはチケットを持たない来館者の入場待ちが長くなることがあるため、日程が決まっているなら事前予約をしておくと安心です。なお、企画展(特別展)は常設展と異なり、別途有料チケットが必要です。
施設情報・アクセス
- 所在地: イギリス・ロンドン(Great Russell St, London WC1B 3DG)
- アクセス: ロンドン地下鉄「Russell Square」駅または「Tottenham Court Road」駅から徒歩約10分
- 開館時間: 10:00~17:00(金曜は20:30まで)
- 休館日: 年中無休(1月1日、12月24日~26日を除く)、常設展は入館無料
代表作ギャラリー


作品画像はパブリックドメイン(出典: Wikimedia Commons)