クレラー・ミュラー美術館:森の中で出会う、世界第2位のゴッホ・コレクション
オランダの広大な国立公園内に1938年開館。実業家夫人ヘレーネ・クレラー=ミュラーが蒐集したゴッホ作品約90点を有し、ゴッホ美術館に次ぐ世界第2位のコレクション規模を誇ります。
はじめに:森の中の美術館
クレラー・ミュラー美術館は、1938年にオランダ中部のホーヘ・フェルウェ国立公園内に開館した美術館です。実業家の妻ヘレーネ・クレラー=ミュラーが、美術教師H.P.ブレマーの助言を受けながら、まだ評価の定まらなかった時代からフィンセント・ファン・ゴッホの作品を情熱的に蒐集し、そのコレクションと広大な土地を国に寄贈したことから始まりました。建物はベルギーの建築家ヘンリー・ファン・デ・ベルデの設計によるもので、水平に低く伸びる簡素な造りが森の風景に静かに溶け込んでいます。周囲には彫刻が点在する広大な野外彫刻庭園も広がっています。
コレクション:知られざる第2のゴッホの聖地
ゴッホの油彩画約90点に素描約180点を加え、合わせておよそ270点を収蔵しており、アムステルダムのゴッホ美術館に次ぐ世界第2位の規模を誇ります。オランダ時代の暗く重い色調の農民像から、アルル、サン=レミ時代の燃えるような色彩まで、ゴッホ美術館とはまた違うラインナップで画業の全貌に触れられる、ゴッホ愛好家にとっての隠れた聖地です。ゴッホのほかにも、モンドリアン、スーラ、ピカソ、レジェなど20世紀初頭の前衛絵画が厚く、ヘレーネが同時代の抽象へ向けていた鋭いまなざしを追体験できます。
3つの見どころ
ゴッホ「夜のカフェテラス」
アルルの夜のカフェを、星の瞬く空の下に描いた色彩豊かな一枚です。ただし本作は日本で開催される大規模なゴッホ展へ貸し出されており、2026年9月15日までは同館の展示室では見ることができません。訪問前に公式サイトで公開状況を確認しておくと安心です。
ゴッホ「種まく人」「糸杉と星の見える道」
「種まく人」は沈む夕日を背に種をまく農夫を描いた、ゴッホが敬愛したミレーへのオマージュ作です。最晩年の「糸杉と星の見える道」は、うねる筆致で天と地をひとつに結んだ、画家の到達点のひとつといえる作品です。
広大な野外彫刻庭園と森
ロダン、ヘンリー・ムーア、ジャン・デュビュッフェらの作品160点以上が、森と一体になった庭園に点在しています。国立公園内には無料で借りられる白い自転車が用意されており、森を走って美術館まで向かう時間そのものが忘れがたい体験になります。
施設情報・アクセス
所在地: オランダ・オッテルロー(Houtkampweg 6, 6731 AW Otterlo)
アクセス: ホーヘ・フェルウェ国立公園内。最寄り駅アーネムからバスと園内シャトルで約1時間
開館時間: 10:00~17:00
休館日: 月曜日(夏季休暇期間は開館)
入館料: 国立公園の入園料と美術館の入館料の両方が必要で、両者をまとめたチケットが用意されています。
代表作ギャラリー


作品画像はパブリックドメイン(出典: Wikimedia Commons)
