オルセー美術館:パリの元駅舎に集う、印象派絵画の殿堂

オルセー美術館:パリの元駅舎に集う、印象派絵画の殿堂

美術館

1900年万博にあわせて建てられた駅舎を改装し1986年開館。モネ、ルノワール、ゴッホ、マネら印象派・ポスト印象派の名品を、優雅な旧駅舎建築とともに楽しめます。

はじめに:駅舎から美術館へ

オルセー美術館は、1900年のパリ万国博覧会にあわせて建設されたオルセー駅の駅舎を改装し、1986年にパリで開館した美術館です。設計は建築家ヴィクトル・ラルー。セーヌ左岸という立地にふさわしい重厚な石造りの外観の内側に、鉄とガラスの巨大なアーチ天井が隠されています。長距離列車の発着は1939年に終わり、一時は取り壊しも検討されましたが、歴史記念物に指定されて保存され、イタリアの建築家ガエ・アウレンティらの手で美術館へと生まれ変わりました。かつてホームがあった中央の吹き抜けを彫刻が埋め、駅時代の大時計の文字盤越しにパリの街を望む——建築そのものが最大の展示品といえる場所です。

コレクション:印象派・ポスト印象派の殿堂

収蔵作品は1848年から1914年までの美術に絞られており、ルーヴル美術館(それ以前の時代)とポンピドゥー・センター(それ以降の現代美術)の間をつなぐ役割を担っています。とりわけ印象派・ポスト印象派の作品は世界最高水準のコレクションで、モネ、ルノワール、ドガ、セザンヌ、ゴッホ、ゴーギャンら綺羅星のごとき画家たちの代表作が一堂に会します。ミレー「落穂拾い」「晩鐘」やクールベ「オルナンの埋葬」「画家のアトリエ」といった19世紀写実主義の大作、ルノワール「ムーラン・ド・ラ・ギャレットの舞踏会」、ドガ「エトワール」、ゴッホ「オーヴェールの教会」「ローヌ川の星月夜」、さらにロダンやカルポーの彫刻まで、近代美術の教科書がそのまま並んでいるような密度です。

3つの見どころ

マネ「草上の昼食」「オランピア」

「草上の昼食」は、着衣の男性のかたわらに裸婦を配して発表当時大スキャンダルとなった問題作で、近代絵画の出発点とされる一枚です。「オランピア」は神話の女神ではなく現実の女性を裸婦として描き、美術界に衝撃を与えました。二枚を続けて見ると、絵画が何を描いてよいかの境界が動いた瞬間が伝わってきます。

ミレー「落穂拾い」とクールベ「オルナンの埋葬」

ミレー「落穂拾い」は農民の労働を荘厳に描いたバルビゾン派の代表作で、日本でも古くから愛されてきました。村人の葬列を歴史画の大きさで描いたクールベ「オルナンの埋葬」とあわせて見ると、名もなき人々が絵画の主役になった時代の空気が感じられます。

最上階の印象派ギャラリーと大時計

ルノワール「ムーラン・ド・ラ・ギャレットの舞踏会」やドガ「エトワール」が並ぶ最上階は、自然光が回りこむように差す展示室です。すぐそばには駅時代の大時計があり、その文字盤の裏側からモンマルトルの丘まで見晴らせます。

施設情報・アクセス

所在地: フランス・パリ(1 Rue de la Légion d'Honneur, 75007 Paris)

アクセス: パリRER C線「Musée d'Orsay」駅からすぐ

開館時間: 9:30~18:00(木曜は21:45まで)

休館日: 月曜日、5月1日、12月25日

入館料: 一般16ユーロ前後。近年は時間指定のオンライン予約がほぼ必須で、繁忙期は数日前までの購入が推奨されています。

代表作ギャラリー

草上の昼食
草上の昼食1863年エドゥアール・マネ
オランピア
オランピア1863年エドゥアール・マネ
落穂拾い
落穂拾い1857年ジャン=フランソワ・ミレー

作品画像はパブリックドメイン(出典: Wikimedia Commons)