Reborn-Art Festival:震災からの再生を掲げる、石巻・牡鹿半島の「アートと音楽と食」の祭典
2017年に宮城県石巻市・牡鹿半島で始まったReborn-Art Festival。東日本大震災からの復興の歩みの中で生まれた、アート・音楽・食を融合させた総合芸術祭です。「Reborn-Art=人が生きる術」をテーマに掲げます。
はじめに:「Reborn-Art」とは、人が生きる術(すべ)
Reborn-Art Festival(リボーンアート・フェスティバル)は、宮城県石巻市の市街地と牡鹿半島を主な舞台とする総合芸術祭です。音楽プロデューサーの小林武史が中心となって立ち上げ、第1回は2017年7月から9月にかけて開催されました。東日本大震災で甚大な被害を受けたこの地域で、「Reborn-Art=人が生きる術」をテーマに掲げ、アート・音楽・食という3つの柱で構成されるのが最大の特徴です。
復興という言葉が「元に戻すこと」を意味しがちなのに対し、この芸術祭は、失われたものを嘆くのではなく、この土地でこれからどう生きていくかを考える場として設計されてきました。2019年、2021年から2022年にかけての開催と回を重ね、会期の枠を越えて地域に残る施設や仕組みを生み出してきた点も、他の芸術祭とは異なる歩みです。
絶対に知っておきたい!3つの見どころ
1. 牡鹿半島の自然の中に置かれた現代アート
リアス海岸の入り江や浜辺、山道など、牡鹿半島の雄大な自然の中に国内外のアーティストの作品が点在します。なかでも名和晃平の白い鹿の彫刻《White Deer (Oshika)》は、荻浜の浜辺に立ち、空を見上げる姿が芸術祭を象徴する存在として広く知られるようになりました。作品は会期後も現地に置かれ続けており、石巻市との協議のうえで恒久設置がめざされています。
2. 音楽イベントとの融合
音楽プロデューサーが発起人であることから、会期中にはライブイベントも開かれてきました。海を望む野外ステージで音楽を聴き、その足で山道の作品へ向かう。アートと音楽が同じ土地で響き合う体験の設計は、この芸術祭ならではのものです。
3. 地元の恵みを味わう「食」のプログラム
三陸の豊かな海の幸や、増えすぎたシカとの向き合い方から生まれた鹿肉など、土地の恵みを生かした食のプロジェクトも柱のひとつ。シェフとアーティストが協働し、「食べること」自体を表現として提示してきました。鹿肉の解体処理施設「FERMENTO」のように、食の循環を担う拠点そのものが芸術祭から生まれています。
会期がなくても訪ねられる場所
Reborn-Art Festivalは本祭の間隔が長く不定期ですが、《White Deer (Oshika)》をはじめとする継続展示の作品や、滞在型の拠点「もものうらビレッジ」、JR石巻駅構内の「Reborn-Art STAND」など、平時に訪れても体験できる場所が残されています。次の本祭を待たずに、まず一度この土地を歩いてみるという楽しみ方ができます。石巻市街には石ノ森萬画館もあり、まち歩きとあわせて半日を過ごせます。
開催概要
- 開催地: 宮城県石巻市(市街地および牡鹿半島)。回により網地島や松島湾周辺にも展開されてきました
- 主な会場: 牡鹿半島・荻浜地区、石巻市街地、もものうらビレッジ
- 開催ペース: 不定期。2017年、2019年、2021年から2022年にかけて開催されました
- 開催時期: これまでは夏から秋にかけて。次回の本祭は未定です
- アクセス: 仙台駅からJR仙石線・仙石東北ラインで石巻駅まで約1時間。半島部の作品をめぐるには車の利用が現実的です
まとめ
Reborn-Art Festivalは、震災の記憶と向き合いながら、アートと音楽と食を通じて「生きる術」を問いかける芸術祭です。会場が広域に散らばるため、1日で回りきろうとせず、石巻市街に宿を取って2日かけるくらいの余裕を持ちたいところ。牡鹿半島の海と山の風景の中で、再生の物語に触れてみてください。
