諸橋近代美術館:磐梯山麓の五色沼に佇む、世界で3館目に開かれたダリの専門美術館
実業家・諸橋廷蔵が約20年かけて蒐集したサルバドール・ダリの作品約330点を収蔵する、福島・裏磐梯の美術館。世界で3番目に開館したダリの専門美術館として知られる(2027年4月頃まで改修のため長期休館中)。
はじめに:磐梯高原に忽然と現れる、ヨーロッパ風の美術館
諸橋近代美術館は、福島県北塩原村、磐梯山麓の景勝地・五色沼の入口に1999年(平成11年)に開館した美術館です。スペインの巨匠サルバドール・ダリの絵画・彫刻・版画など約330点を収蔵しており、ダリの常設美術館としてはダリ劇場美術館(スペイン・フィゲラス)、ダリ美術館(アメリカ・フロリダ)に次いで世界で3館目に開館しました。四季折々に彩られる磐梯高原の自然の中に、ヨーロッパの古城を思わせる美しい建築が佇む、独特の存在感を放つ美術館です。
時代背景:一人の実業家が捧げた、ダリへの憧れ
スポーツ用品店チェーン「ゼビオ」の創業者である諸橋廷蔵(1934-2003)は、青年期からシュルレアリスムの世界に強く惹かれ、とりわけダリの緻密で幻想的な作風に魅了され続けました。約20年の歳月をかけてダリ作品を蒐集した諸橋は、1999年、美術館の用地・建物・コレクションのすべてを財団に寄付し、地元・福島の地に本格的なダリ美術館を実現させました。
日本でダリを見るなら諸橋近代美術館:世界有数のダリコレクション
「ダリの作品を日本でまとめて見たい」「ダリ美術館は日本にあるの?」という方にとって、諸橋近代美術館はまさに唯一無二の存在です。溶ける時計のイメージで世界中に知られるシュルレアリスムの巨匠サルバドール・ダリ。その作品を常設で本格的に紹介する美術館は、日本ではここをおいて他にありません。所蔵するダリ作品は絵画・彫刻・版画などあわせて約330点。その規模は、ダリ劇場美術館(フィゲラス)、ダリ美術館(フロリダ)、ソフィア王妃芸術センター(マドリード)という世界的な3館に次ぐもので、アジア随一のダリ・コレクションと評されています。
内訳で特筆すべきは彫刻37点というまとまった数で、これは世界でも類を見ないコレクションです。溶けた時計や象徴的な人体像など、ダリならではの奇想を立体で堪能できるのは当館ならではの体験といえるでしょう。油彩画も、晩年の大作《テトゥアンの大会戦》や《ビキニの3つのスフィンクス》といった代表作がそろい、版画まで含めればダリの多彩な表現世界をこの一館で通覧できます。さらに、印象派からシュルレアリスム期までの西洋近代絵画約40点もあわせて収蔵しており、ダリを美術史の大きな流れの中で味わえるのも魅力です。
3つの見どころ
- ダリの油彩・彫刻コレクション: 《テトゥアンの大会戦》をはじめとする晩年の大作から、世界屈指の規模を誇る彫刻群、版画まで、ダリの多岐にわたる表現を網羅的に鑑賞できます。
- 磐梯高原の絶景: エメラルドグリーンに輝く五色沼をはじめとする裏磐梯の雄大な自然が、美術館の周辺に広がっています。
- ヨーロッパ風の建築: 磐梯山を借景にした、まるでヨーロッパの美術館を訪れたかのような重厚な建築デザインも見どころの一つです。
アクセス・開館情報:冬季休館と長期休館に注意
諸橋近代美術館は雪深い裏磐梯に立地するため、例年の営業期間は春から晩秋までで、冬季は休館となります(2025年度の営業期間は4月12日から11月9日まででした)。訪問できる季節が限られる分、新緑・紅葉など磐梯高原のベストシーズンと重なるのが嬉しいところで、五色沼の散策とセットで訪れるのが定番コースです。
さらに現在は、開館から四半世紀を経た空調・照明など設備の老朽化に伴う改修工事のため、2025年11月10日から全館長期休館中です。2026年3月に工事が始まり、同年12月の完成を経て開館準備が進められる計画で、再開館は2027年4月頃の予定です。休館中は展覧会だけでなくミュージアムショップ・カフェの営業も休止し、庭園を含む敷地内にも立ち入ることができません。裏を返せば、リニューアル後には快適な環境で世界有数のダリコレクションと再会できるということ。訪問を計画する際は、必ず公式サイト(dali.jp)で最新情報を確認しましょう。
- 住所: 〒969-2701 福島県耶麻郡北塩原村大字桧原字剣ヶ峯1093-23
- アクセス: JR磐越西線「猪苗代駅」よりバスで約30分。首都圏からは東北新幹線で郡山駅へ行き、磐越西線に乗り換えるルートが一般的です
- 開館状況: 改修工事のため長期休館中。2027年4月頃のリニューアルオープンを予定(工事の進捗により変更の可能性あり、公式サイトで要確認)