藤田美術館:国宝・曜変天目に会える大阪の名門、2022年生まれ変わった名コレクション
明治の実業家・藤田傳三郎父子が収集した東洋古美術の殿堂。世界に3碗しかない完品の国宝「曜変天目茶碗」を筆頭に、国宝9件・重文53件を誇ります。2022年リニューアル。
はじめに:明治の数寄者が守った日本の美
藤田美術館は、明治の大阪で財を成した実業家・藤田傳三郎と、その息子である平太郎・徳次郎が集めたコレクションを公開するため、1954年(昭和29年)に大阪・網島の藤田家邸宅跡に開館した美術館です。明治初期の廃仏毀釈によって海外へ流出しかけた仏教美術や、茶の湯の名物道具を私財を投じて守った傳三郎の収集品は、国宝9件、重要文化財53件を含む屈指の内容を誇ります。2017年から長期休館して建物を全面的に建て替え、2022年4月1日、蔵をイメージした現代的な空間として生まれ変わりました。旧来の「格式の高い私立美術館」という印象を意識的に崩し、誰もがふらりと立ち寄れる場所を目指した点が、リニューアルの大きなテーマです。
コレクション:曜変天目と仏教美術
最大の目玉は、国宝《曜変天目茶碗》です。漆黒の釉面に星のような斑文が浮かび、角度によって虹色に輝く神秘の茶碗で、完品は世界に3碗(藤田美術館・静嘉堂文庫美術館・大徳寺龍光院)しか現存しないとされます。ほかに、鎌倉時代の仏師・快慶による《地蔵菩薩立像》、玄奘三蔵の生涯を描いた絵巻《玄奘三蔵絵》、密教経典をめぐる説話を描いた《両部大経感得図》など、国宝・重要文化財がずらりと並びます。ただし展示は年に数回テーマを替えて入れ替わる方式で、《曜変天目茶碗》も通年公開ではありません。お目当てがある場合は、公式サイトで展示予定を確認してから出かけるのが確実です。
3つの見どころ
1. 国宝《曜変天目茶碗》
宇宙を思わせる斑文の輝きは、ガラス越しでも息をのむ美しさです。角度を変えながらじっくり見てください。
2. 蔵をイメージした新しい建物
2022年のリニューアルで、開放的な土間空間と蔵をかたどった展示室に一新されました。チケットはキャッシュレスで、予約なしに訪れられる身軽さも魅力です。
3. あみじま茶屋
エントランスの土間にある茶屋では、煎茶・番茶・抹茶から選べるお茶と、餡子・醤油の焼きたてだんごが味わえます。鑑賞の前後に一服できることが、美術館の敷居をぐっと下げてくれます。
施設情報・アクセス
住所:〒534-0026 大阪府大阪市都島区網島町10-32
アクセス:JR東西線「大阪城北詰」駅からすぐ。大阪城公園や藤田邸跡公園も近く、散策とあわせて訪れやすい立地です。
開館時間:10:00〜18:00
休館日:年末年始(12月29日〜1月5日)
入館料:1,000円、19歳以下は無料(年齢が確認できるものの提示が必要です)