プラド美術館:マドリードに集う、ベラスケスとゴヤのスペイン絵画黄金期

プラド美術館:マドリードに集う、ベラスケスとゴヤのスペイン絵画黄金期

美術館

スペイン王家のコレクションを核に1819年開館。ベラスケス「ラス・メニーナス」、ゴヤの「黒い絵」シリーズなど、スペイン絵画の精髄が一堂に会する世界屈指の美術館です。

はじめに:スペイン王家が育てたコレクション

プラド美術館は、1819年にスペイン・マドリードで開館した国立美術館です。建物はもともと、カルロス3世の命により1785年に自然科学博物館として着工されたもので、設計は新古典主義の建築家フアン・デ・ビリャヌエバ。ナポレオン戦争で荒廃した後、フェルナンド7世と王妃マリア・イサベルの尽力によって、歴代のスペイン国王が収集してきた絵画コレクションを公開する美術館として生まれ変わりました。2007年にはラファエル・モネオ設計の新館が加わり、壮麗な本館とあわせて現在の規模になっています。

コレクション:ベラスケスとゴヤの至宝

収蔵する絵画は約8000点で、そのうち常時展示されるのは1000点あまり。スペイン絵画を中心に、イタリア・フランドル絵画も含みます。中でもディエゴ・ベラスケスとフランシスコ・デ・ゴヤの作品群は他に類を見ない充実ぶりで、スペイン黄金世紀の宮廷絵画から、ゴヤ晩年の暗く幻想的な「黒い絵」シリーズまで、その画業をまるごと辿ることができます。エル・グレコ、ムリーリョ、リベーラといったスペイン絵画の系譜に加え、ティツィアーノ、ルーベンス、デューラー「アダムとエヴァ」など、王家の趣味を映す名品も見逃せません。

建物には三つの入口があり、それぞれベラスケス、ゴヤ、ムリーリョと、スペイン絵画を代表する画家の名を冠しています。門の前にはその画家の銅像が立っており、館に入る前から「スペイン絵画の総本山」であることを実感させられます。

5つの見どころ

アルブレヒト・デューラー「アダムとエヴァ」:ドイツ・ルネサンスの巨匠が、二枚一組の板絵に理想の人体を描き切った作品。イタリアで学んだ人体表現の成果が凝縮されています。

ベラスケス「ラス・メニーナス(女官たち)」:鏡や視線の仕掛けで見る者を絵の中に引き込む、西洋絵画史上最も分析され続けてきた傑作です。

ゴヤ「1808年5月3日」:ナポレオン軍による市民の銃殺を描いた、近代の戦争画の原点というべき一枚。「裸のマハ」「着衣のマハ」とあわせて、ゴヤの振れ幅の大きさを体感できます。

ゴヤ「我が子を食らうサトゥルヌス」:ゴヤが自邸の壁に直接描いた「黒い絵」シリーズの中でも、最も強烈な印象を残す一枚です。

ヒエロニムス・ボス「快楽の園」:奇想天外な図像で埋め尽くされた三連祭壇画。何時間見ていても飽きない情報量です。

施設情報・アクセス

所在地:スペイン・マドリード(Calle de Ruiz de Alarcón 23, 28014 Madrid)

アクセス:マドリード地下鉄「Atocha」駅または「Banco de España」駅から徒歩約10分

開館時間:月~土10:00~20:00、日祝10:00~19:00

休館日:1月1日、5月1日、12月25日

入館料:常設展は一般15ユーロ、18歳未満と25歳以下の学生は無料。閉館前の2時間(月~土18:00~20:00、日祝17:00~19:00)は常設展が無料で観覧できます。

代表作ギャラリー

ラス・メニーナス(女官たち)
ラス・メニーナス(女官たち)1656年ディエゴ・ベラスケス
我が子を食らうサトゥルヌス
我が子を食らうサトゥルヌス1819-1823年頃フランシスコ・デ・ゴヤ
快楽の園
快楽の園1490-1510年頃ヒエロニムス・ボス

作品画像はパブリックドメイン(出典: Wikimedia Commons)