高松市美術館:商店街のそばの「街なか美術館」、戦後美術と讃岐漆芸のコレクション

高松市美術館:商店街のそばの「街なか美術館」、戦後美術と讃岐漆芸のコレクション

美術館

中心商店街のすぐそばに建つ高松市美術館。前身は1949年開館の「戦後日本初の公立美術館」高松美術館。戦後日本の現代美術と讃岐漆芸という個性的な二本柱で知られます。

はじめに:日本の公立美術館史に名を刻む館

高松市美術館は、香川県高松市の中心市街地に建つ美術館です。前身の高松美術館は1949年(昭和24年)の開館で、戦後の日本でもっとも早い時期に生まれた公立美術館のひとつとして知られています。現在の建物は1988年(昭和63年)に紺屋町へ新築移転して開館したもので、丸亀町商店街のアーケードから歩いてすぐという「街なか美術館」ならではの気軽さが持ち味です。買い物のついでに立ち寄る市民の姿が絶えない、暮らしに溶け込んだ美術館といえます。

コレクション:現代美術と漆の国・讃岐

収集の柱は三つあります。ひとつめは「戦後日本の現代美術」で、具体美術協会やもの派をはじめ、戦後から現代までの流れを体系的に集めています。ふたつめは「20世紀以降の世界の美術」で、版画を中心とした国際的なコレクションを築いてきました。そして三つめが「香川の美術」、すなわち讃岐漆芸と金工です。香川は蒟醤(きんま)、存清(ぞんせい)、彫漆(ちょうしつ)といった技法を受け継いできた漆芸王国で、蒟醤の磯井如真や太田儔、彫漆の音丸耕堂といった重要無形文化財保持者(人間国宝)を輩出してきました。その名品がまとまって見られるのは、全国でもここならではです。

街なか美術館という選択

多くの地方の公立美術館が郊外の広い敷地に建てられるなか、高松市美術館は市街地のただなかにとどまる道を選びました。限られた敷地を立体的に使い切る構成で、天井の高いエントランスホールはコンサートやワークショップの会場としても活用され、市民が日常的に足を運ぶ場になっています。企画展のない時期でも常設展示室は開いており、一般200円で戦後美術と讃岐漆芸をじっくり見られる気軽さは、この立地とあわせて当館の大きな強みです。旅行者にとっても、瀬戸内の島々へ渡る前後の空き時間に立ち寄れる、ちょうどよい距離感の美術館といえるでしょう。

3つの見どころ

戦後日本美術コレクション:具体美術協会やもの派など、美術の教科書に載る戦後美術の実物に、地方都市の街なかで出会えます。常設展示室では収蔵品を入れ替えながら紹介しています。

讃岐漆芸の名品:音丸耕堂や磯井如真ら人間国宝の手による漆芸作品を通じて、香川という土地が育んできた工芸文化の底力を実感できます。細密な彫りと色漆の重なりは、実物を前にしてこそ驚きがあります。

商店街とアートのはしご:日本一長いとも言われる高松の中央商店街や、瀬戸内国際芸術祭の玄関口である高松港と組み合わせれば、街歩きの一日がそのままアート体験になります。

施設情報・アクセス

住所:〒760-0027 香川県高松市紺屋町10-4

アクセス:ことでん「片原町」駅から徒歩約9分、JR「高松」駅から徒歩約15分

開館時間:9:30〜17:00(特別展開催中の金曜・土曜は19:00まで)

休館日:月曜日(祝日の場合はその翌平日)、年末年始

観覧料:常設展は一般200円、高校生・大学生150円、小中学生無料。特別展は展覧会ごとに料金が異なります。