栃木県立美術館:イギリス水彩画の系譜と日本の近代美術が響き合う
宇都宮市にある栃木県立美術館は、1972年に開館した日本の地方近代美術館の草分け。イギリスの水彩画やターナー、版画、そして日本の近代絵画を網羅する知的な展示が特徴です。
はじめに:日本の地方公立近代美術館の「先駆者」
宇都宮市の市街地に建つ栃木県立美術館は、日本の戦後近代美術館の先駆けとして1972年にオープンしました。建築家・川崎清によるモダニズムデザインの建物は、光とコンクリートの美しさを際立たせています。当館は「水彩画」や「版画」など、比較的コンパクトながら深い味わいを持つ美術形式の収集において、極めて高い専門性を誇ります。
時代背景:イギリス水彩画と近現代美術の系譜
当館は特に、J.M.W.ターナーをはじめとする19世紀の「イギリス水彩画」のコレクションで知られます。水彩は油彩に比べて劣化しやすいため展示が難しいですが、当館は徹底した光量管理のもとで美しいイギリスの風景画を公開。日本の洋画の近代化に与えた影響を比較検討できる貴重な展示を行っています。
3つの見どころ
- イギリス水彩・風景画: ターナーやコンスタブルなどの、光と湿った空気を見事に捉えた水彩画の数々。
- 近代日本の洋画と版画: 栃木出身の小口一郎の木版画や、大正期の新版画の作品群。
- 現代美術の意欲的展示: 1970年代以降の国内外の現代アートの企画展をリードしてきました。
鑑賞のコツ
展覧会の質が非常に高いため、じっくり時間をかけて企画内容を読む展示室の設計になっています。併設のライブラリーも充実しており、美術関連書籍の閲覧が可能です。
施設情報・アクセス
- 住所: 〒320-0043 栃木県宇都宮市桜1-1-30
- アクセス: JR「宇都宮駅」西口よりバスで約15分「桜通り十文字」下車徒歩約2分
- 開館時間: 9:30~17:00(入館は16:30まで)
- 休館日: 月曜日(祝日の場合は翌日)、祝日の翌日、年末年始
- 公式サイト: 栃木県立美術館
豆知識
宇都宮で長く教鞭をとった木版画家・川上澄生の作品も収蔵しています。レトロで詩情豊かなその版画は、近隣の鹿沼市に専門の美術館ができるほど地元で愛されています。